新型コロナウイルス「オミクロン株」の特徴について【感染力・症状・重症化】
オミクロン株とは?
2021年11月24日に南アフリカから報告された新型コロナウイルス変異株の1種
WHO(世界保健機関)は、この変異株を11月26日に
「懸念される変異株」と位置づけ、「オミクロン」と名付けた。
■オミクロン株の感染力は?
2021年12月時点のイギリスにおける新型コロナウイルスの累積感染者数の推移から
オミクロン株は、まだ明らかでない部分がありますが、
他の変異株よりも感染(伝播)しやすいと考えられている。
そもそもウイルスの伝播しやすさには、
・ウイルス自体の細胞に侵入する能力 (infectivity)
・感染者側のうつしやすさ(contagiousness)
・未感染者側の罹りやすさ(susceptibility)
・ウイルスに対する環境ストレス(温度、湿度、換気など)
が関係します。
そのうち「ウイルスが侵入する能力」に関して、
オミクロン株のウイルス表面のスパイク蛋白は細胞表面への親和性が高く、細胞へ侵入しやすいと考えられています。
また実際にオミクロン株がデルタ株より速く感染拡大している(WHOの見解から)
英国で家族内感染を追跡した研究では、接触者に伝播する確率が、
デルタ感染者からは約10%であったのに対し、
オミクロン患者からは18%
■オミクロン株による症状・特徴とは?
オミクロンに感染した人の中には、無症状で済む人、肺炎を起こして死亡する人までさまざま
しかし、いくつかの研究で、通常の新型コロナの感染症と以下の点が異なる可能性
・発熱(72%)
・咳(58%)
・だるさ(50%)
・のどの痛み(44%)
などの風邪症状が中心(沖縄での報告から)
潜伏期間が短い可能性
アメリカの報告例によると潜伏期間の中央値は3日としています。
通常の新型コロナが5日ほどと考えられているので、2日ほど早いということになります。
ただし、いずれにしても小規模臨床研究がほどんど、大規模データの集積結果が待たれる。
■オミクロン株の重症化リスクは?
オミクロンに感染した場合他の変異株に感染した場合より重症化しやすいかは、まだ明らかになっていませんが、症状が軽い傾向にあることを示唆する研究結果がいくつか報告されている。
英国の報告では、
「オミクロン感染者はデルタ感染者より、病院にかかるリスクが20〜25%一晩以上入院するリスクは40〜45%低い」という結果。
また入院データを参考にオミクロンはデルタに比べて入院するリスクが3分の2低下していると発表
デンマークからの報告でもオミクロン感染者の0.6%が入院したのに対し
他の変異株の感染者の入院は1.6%であったとしています。
これらの背景として、査読中の香港大学の研究結果では
オミクロンは気管支内で、デルタや通常株と比べて速く増殖するのと対照的に、肺内での増殖速度は相対的に非常に遅い」可能性を示唆。
実際に肺炎が起きにくいのであれば、こうした理由から。
ただし、入院率については以下の理由から慎重に解釈する必要があり、
安易に「オミクロン株は重症化しないから感染しても問題ない」と考えるのは危険。
新規変異株であり、発症から入院までに時間がかかること
入院率の低下が、純粋にオミクロン感染の重症度の低さか、過去の感染やワクチンの効果かが不明
■オミクロン株に対するワクチンの効果は?
英国健康安全保障庁(UKHSA)では、
デルタ患者とオミクロン患者の解析から、ワクチンの効果(2回接種後と3回接種後)で検討
その報告によると
2回接種の場合
オミクロン株に対しての予防効果はある程度見られるもののデルタ株よりも低く、いずれのワクチンでも2回接種後20週経過すると、オミクロン株に対するワクチン効果はゼロに近くなる
3回接種の場合
アストラゼネカ製2回接種後、3回目にファイザー製かモデルナ製:2~4週間後にはオミクロンに対するワクチン効果は上昇しますが、およそ60%、5~9週後には45%程度
ファイザー製2回接種後、3回目もファイザー製:1週間後70%程度で、10週間経過すると45%
ファイザー製2回接種後、3回目はモデルナ製: 9週後まで70~75%
モデルナ2回接種後の3回目のワクチン効果については解析対象者がなくデータなしという結果
ただし「観察研究であるため、他の要因が絡んでいる可能性があること」
「オミクロン株感染例は少ないこと」から、推定値の評価には注意が必要です。
また、この報告は発症予防効果についてであり
オミクロン株感染による重症をワクチンがどれだけ予防できるかは
これからの検討されることになります。
■オミクロン株への再感染の可能性は?
では新型コロナウイルスに感染したことがある方の
オミクロン株に再感染する可能性はあるのか?
答えは「オミクロン株は他の株よりも再感染する可能性が高い」
英国の研究では
新型コロナウイルス感染歴のある人にとって、デルタ株での再感染よりもオミクロンでの再感染のほうが5.4倍起こりやすく
ワクチン未接種の場合6.36倍、ワクチン接種後では5.02倍
これは、オミクロン株が他の変異株の感染で作られた抗体から逃れるようなウイルスであることが考えられます。
■オミクロン株の特徴のまとめ
オミクロン株は日本を含め世界で急増しています。
しかし、オミクロンは今まで通りの検査で見つけることが可能
従来の薬で効くものも複数ある
症状が出た場合は早めに医療機関に受診し検査することが大切。
また、3回目のワクチンを打つことで、
デルタ株等に対してほどの効果はないものの
オミクロン感染を防ぐ一定の効果はあります。
オミクロンはデルタと比較すると重症化しにくい可能性があります。
しかし、感染者数が増加すれば、それに比例して入院を要する人、
重症になる人は増えてしまいます。
引き続き一人一人がマスク着用、手洗い励行3密をなるべく避けるなどの個人レベルでの感染対策をしていくことが自分や周囲の人を守ることに変わりないですね。
重症化が少ないから『ただの風邪』と侮らず、感染拡大防止に努めましょう。